将来の独立のために
■ はじめに
このページを読むあなたは、進路に迷っていて、どうすれば見つかるのか、何をしたらよいのか悩んでいることと思う。
人によって進路はさまざまだ。
医者になる人もいれば、公務員になる人もいる。
また、ビジネスマンになる人も、ピアノの先生になる人もいる。
何をするのかは大切だが、もっと大切なことがある。
それは、それら職業において、なんのためにするのかということである。
医者になるのは、なんのためであろうか。
ピアノの先生になるのは、なんのためであろうか。
考えてみてほしい。
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なんのためにするのかは人さまざまではあるが、誰もが「そうだよね」と納得することがある。
それは、誰かのためにする、誰かに役立つためにする、ということだ。
自分のためではない。誰かのために自分があるということだ。
医者は、なんのために仕事をするのであろうか。
当然、病気や怪我をした人を治療するためである。
ピアノの先生は、なんのために仕事するのであろうか。
当然、ビアノを弾けるようになりたい人のためである。
ビジネスマンは何のために仕事するのであろうか。
当然、商品やサービスを使うお客さんに喜んでいただくためである。
あとは、すべての仕事について、あなた自身で考えてみてほしい。
そこに、自分のためという考えが入ると、必ず失敗する。
この当然といえば当然のことを教えている学校が、ほとんど無い。
知識ではなく、知恵や、こころの分野であるからだ。
しかし、これこそがもっとも大切なことである。
あなたは、このような知恵や、こころを学校で学んだことがあるだろうか。
進路指導で学ぶことは、面接のしかた、一般教養の勉強、性格テスト、といった知識が、ほとんどではなかったか。
なんのために仕事するのか。
これをもう一度、自分に問いかけてみてほしい。
そこから、進路が見つかる。
さて、今のあなたは何ができるのだろうか。
いや、何をしてみたいかでもよい。
1 枚の紙に、できること、やってみたいこと、できるだけたくさん書いてみてほしい。
人に見せる必要はないから自由に書けばよい。
数も決めなくてよい。
後日また新しいものが出てきたら追加すればよい。
大切なのは、否定しないことだ。
どうせ、こんなこと書いても無理だろうとか、ネガティブ(否定的)にならないことである。
ところで、人が驚くほどに力が出る状態は、どんなときか、あなたは知っているだろうか。
それは、誰かのために、何かをするときである。
自分のためにするときは、力が出ないことが多い。
しかし、誰かのためなら圧倒的な力が出るのである。
たとえば、親が子供のために出す力は半端ではない。
命さえ投げ出す場合もある。
人は、誰かのために何かをするようにつくられているのだ。
ここで、誰かのために、何かをするときに身につけることの訓練がある。
それが、これから伝える「3 つの、やるべきこと」である。
■ その 1 自立できる力を身につける訓練
誰かの役にたつためには、自分を知ってもらわなければならない。
何もしなければ、誰もあなたを知ることはできない。
したがって、自分から何かをする必要がある。
これが自立である。
自立の定義はいろいろあるとは思うが、ここでは自分を誰かに提供できるようになることとする。
自分が誰かの役にたつため、自分を売り込むということは大切である。
自分を売り込むというと、ずうずうしいとか、自己中心的、などと思う人もいるようだが
目的が、誰かのためであれば、それらは当てはまらない。
自分を売り込むためには、3 つの力が必要になる。
それは
1 人間関係をつくる力
2 問題解決をする力
3 実践、行動する力
である。
これらは、訓練しないとできないし、訓練すれば誰でも身につけることができる。
残念なことに多くの学校がこの訓練をカリキュラムに入れていない。
きっと、それら学校が、どうしてよいのかわからないからであろう。
また、その重要性に気づいていないことが理由かもしれない。
それでは、具体的にどのような訓練をすればよいのか。
1 まずは人間関係をつくる力の訓練から。
訓練の筆頭にあげるのが、挨拶(あいさつ)とスピーチの訓練だ。
これは「話す」という訓練になる。
挨拶は訓練しないとできないし、スピーチにいたっては、なおさらである。
たった1 ヶ月の訓練でほとんどの人が見違えるように成長する。
それも1 日20 分から30 分程度の訓練でよいのだ。
挨拶やスピーチの訓練をカリキュラムに入れる学校はほとんど無い。
だから、これらができない人が多いのである。
そして、これにともなう態度の訓練も大切だ。
態度はこころが形となるもので、表面的なものは、すぐにでも見抜かれる。
したがって、こころの訓練が不可欠になる。
こころ、つまり道徳心のことである。
これは「聞く」という訓練から育成される。
そして「話す」「聞く」とつづけば「書く」という訓練がある。
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「書く」の基本は5W1H。
これは学校でも教えるが、多くの人が「書く」を苦手とする。
書きたくないことを書かせるからだ。
最近はインターネットでSNSやメールがさかんであるが、文章を書くのが苦手の人も、まだまだ多い。
しかし、これからは書くことで人間関係をつくる時代である。
ソーシャルネットワークの進化がそれを物語っている。
「書く」の基本はラブレターである。
「あなたが好きです」を意識すれば、書くことが楽しくなる。
書くのが苦手なのは、楽しくないからである。
だから楽しいことから始める訓練をすればよい。
人は楽しければ、ますますチャレンジしていくものである。
2 問題解決する力の訓練とは。
人間関係の訓練で、話す、聞く、書く、の3 要素があった。
問題解決では「読む」(調べる)という訓練が必要になってくる。
誰かのために、問題解決できる存在になれば、自分を提供することができる。
問題解決するためには、問題解決の方法を探して、読む力を身につけなければならない。
もちろん、あなたが、すべての知識、技術を持つ必要はないし、また、すべての知識、技術を備えている人はいない。
大切なのは、問題解決の方法を調べることができるかどうかである。
調べることができれば、必要ならやり方を身につけ、困っている人に提供すればよい。
このきわめて単純なことを知らない人が意外に多い。
よく、できない人に「ダメなやつだ」とレッテル貼る人がいる。
できない人には、できる方法を教えてあげればよいのだ。
ただし、できる方法を教えるには、訓練が必要である。
それは「読む」という訓練だ。
できるだけたくさんの情報を読む。
このやり方を学べば、問題解決の力が身についてくる。
3 実践、行動する力を身につける訓練。
人は、生まれながらに創造する力をもっている。
歴史をみると、先人たちは、いろんなものを作ってきた。
実践、行動とは、「作る(創造)」ということから始まる。
モノでもサービスでも、最初、何かをつくることから始めれば、そこから実践、行動に移れる。
たとえば、畑で農作物をつくれば、それを売るという行動につながる。
楽器の練習をすれば、それを見せるという行動につながるのである。
実践、行動するのに、そのやり方というものがある。
売るには売り方、見せるのは見せ方。
そこには売る訓練、見せるには見せる訓練が必要になる。
何事にもノウハウ、やり方というものがあって、まずは、それを真似るところから始めればよい。
そして何よりも、やっている人から学ぶことこそが、訓練の基本となる。
以上が、自立できる力を身につける訓練である。
これらを本格的にカリキュラムに入れる学校は、いまのところ見当たらない。
■ その 2 肩書き資格を身につける
「実力があれば、資格などは必要ない。」と考える人もいる。
が、多くの人は、あなたの肩書きを見る。
はじめて会って、あなたが何者かを伝えるには肩書き、資格が有効になる。
だから、世の中の多くの人が資格をとるのだ。
それでは、どんな資格をとったらよいのか。
1 どんな仕事にも基本となる知識がある。
あなたが医者になるにしても、ピアノの先生になるにしても、はたまた何かのお店をつくるにおいても必要な資格(知識)がある。
それは、お金の知識である。
横文字でいうと、ファイナンシャルリテラシーという。
お金のことは、誰か他の人にやってもらって、自分はやりたいことに専念したい。
だれもが思うことだが、お金の知識がないため、失敗する人がたくさんいる。
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また、専門家に任せると、費用がかかってしまう。
だから身につけておいたほうがよい知識になる。
ただし身につけるといっても、難しい知識は必要ない。
あなたが、経理の専門家、経営コンサルタントになるなら国家資格レベルが必要だが、中小企業、個人の会計なら基本の知識で充分である。
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数字を扱う知識だからといって敬遠する人が多い。
しかし、この知識が、あなたを守るのだ。
本当は全日本人必修の知識である。
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その知識とは、「簿記会計」である。
2 どんな仕事にも不可欠な知識がある
あなたが医者になろうと、ピアノの先生になろうと、必要となる存在がある。
それは、患者であり、生徒である。
ビジネスマンやお店、会社であれば、お客さんである。
すべての仕事に、このお客さんは不可欠になる。
あなたが医者であっても、ピアノの先生であっても、あなたのライバルは他にもたくさん存在する。
看板出していれば、お客さんが来る時代ではない。
お客さんを集めるという知識が必要なのである。
そして、運営、維持させていく知識が必要になる。
お客さんに喜んでもらうには、どうしたらよいのか。
効率のよいPRは、どうしたらよいのか。
などなど。
お客さんに集まってもらうには、さまざまな知識が必要になる。
どんな仕事にも不可欠な知識が、この集客の知識である。
その知識とは「マーケティング」である。
3 商道徳といわれるもの
仕事をしていくとき、ただ単にモノやサービスを売ればよいのであろうか。
商品の説明だけすればよいのだろうか。
商業活動においてもっとも大切なのは、お客さんとの人間関係であり、信頼関係である。
信頼関係をつくるには誠実でなければならない。
そのために過去から伝えられてきた知恵を学ぶ必要がある。
その知恵とは、日本型経営であり、日本型資本主義である。
明治時代、渋沢栄一という人がこれを確立した。
■ その 3 創作力を身につける
さて、これまで話す、聞く、書く、読む、の必要性を伝えてきた。
最後にくるのは、考える、作るである。
これを創作力という。
誰かの役にたつには、「考えて、作る」ことが必要になる。
それでは何を作ればよいのか。
もうおわかりだろう。
誰かの役にたつモノやサービス、情報である。
そして、あなたの何かできる専門技術も必要となる。
あなたが、モノに関心あるなら、農作物や工業製品をつくればよい。
しかし、今は、情報の時代である。
だから、まずは人に役立つ情報をつくることからはじめてみよう。
情報は集めて加工する。
そうすれば、新しい情報になる。
そして、もしあなたが、創作に関心があるなら、あなたのオリジナル物語、音楽、パフォーマンス(演劇、踊りなど)、絵画、造形物を、つくればよい。
これらはコンテンツという。
プロでなくてよい。
最近ではアマチュアがつくったものが注目される時代である。
まずは考えて、作る。
そうすれば、今度はこれらを知ってもらうという行動につながるのだ。
以上の訓練をすれば、あなたはもう立派な自立した人として通用する。
就職するにも、自分でビジネスするにも、どんなことにも適用できる。
私が、専門学校で教えていたとき、この自立指導をしたことがある。
指導を受けた学生は次々に就職を決めていった。
6 要素の一部ではあるが、
話す、聞く、考える、行動するという訓練をしたからだ。
その実例を、物語風に書いたものがあるので紹介しよう。
「繁栄を生む教育指導法」(平成19 年 著作 加木武司)からの抜粋
■ 本田敏子(仮名)のケース
私が本田敏子に会ったのは、彼女が卒年次に、かろうじて進級したばかりのときでした。
1年次に出席日数が不足しており、仮進級ということでした。
彼女は高校時代に准看護の資格を持っていましたが、さらに介護福祉士の資格を取って、身を立てようとしていました。
しかし彼女の学生生活は乱れに乱れていました。
他県から来て、ひとり住まいという環境が、そうさせたのかもしれません。
無断遅刻、欠席は当たり前。教員には反発し、場合によってはくってかかる、の連続でした。
担任もほとほと手を焼いて、当時生活指導、就職指導係であった私のところに連れてきたのです。
それから私の指導が始まります。
本田は最初「この教員もガミガミと説教するのだろう」と思っていたようです。
ところが、そのこころはお見通しの私でしたので、彼女が予想していない方法をとりました。
説教ではなく、メッセージを語ることにしたのです。
放課後の空き教室を指導場所として、やり始めました。決して教員室での指導はしません。
やり方はこうです。学生がイスに座ります。
指導する私は2メートル以上離れて立ちます。
時にはホワイトボードを使って、板書することもあります。
いわゆるセミナー方式です。
語る内容は「どうしたら良くなるか」です。
例えば「遅刻、欠席をなくす方法はどうしたら良いか」をテーマに話します。
責めたり、叱ったり、怒鳴ったりするのでなく、やりかたを教えるのです。
そして一緒になって乗り越えようと、共同意識を持たせます。
戦うのはひとりではない、一緒に戦おうという意識です。
また先生が協力できることはするので、克服できるまでチャレンジしよう、と励まします。
本田は最初面食らっていました。意表をつかれたからです。
後に本田はこの指導を「加木指導」と名付けました。
加木指導のはじまりでした。
昨年彼女は地元で結婚しましたが、年賀状は、今もつづいており「今の私があるのは加木指導のおかげです」とコメントをくれています。
教員冥利につきます。
さて本田を指導しながらわかったことは、つっぱり反抗的な学生ほど、自分に自信がなく、弱さを隠したがるということです。
そのような学生には励ましが必要です。指導の初期において、私は必ず学生に次のように言います。
「あなたの中には、あなたが気づかない素晴らしい才能が、秘められています。」
「あなたが自分には、できないと否定的に思えば、その才能にはフタが閉められます。」
「しかし自分には、できると肯定的に思えば、フタが開き素晴らしい力が発揮されるのです。」
「大丈夫です。安心してチャレンジしてください。必ず成功します。」
セミナー式学生指導(自立指導:加木指導)は功を奏しはじめました。
指導は毎日のようにつづけられました。放課後30 分~1 時間です。
本田の指導は、通算で3 ヶ月くらい続きました。
この間私は、無理やり指導を強制したことは一度もありません。
学生自らこの指導に参加したい、ということで続けられたのです。
本田への最初の指導は、どうしたら遅刻、欠席がなくせるかでした。
本田の当時の状況は、単位認定が危ぶまれるほどの、きわどいものだったからです。
そこで私は、朝必ず起きる方法をセミナーで指導したのです。
その方法とは・・
「夜寝る前に『明日の朝○○時に起きます。』と3 回ことばに出して寝なさい」
と、いうものでした。
一種の自己暗示ですが、これが結構効果あります。自分でも実験済みです。
目覚まし時計2~3 個買うより、効果があります。
本田は早速実践しました。
彼女のすごいところは、何の疑いもなく、私のアドバイスを素直に実行に移すところでした。
この素直さは、後に驚く結果を生み出します。
数日もたたないうちに遅刻、欠席が減少し、これには担任も驚いていました。
本田はこの指導が、だんだん楽しくなり、まるで好きなクラブ活動に参加するかのように、積極的に続けて来ました。
さらに、同じクラスのマイナス学生達を連れてくるようになり、加木指導は、あっという間に4 人5 人と増えてしまいました。
私の指導ポリシーは常に明るく、常に肯定的です。
加木指導の中では暗さ、マイナス、否定的は禁止です。
それが唯一のルールです。
■ 自立指導
ここで、この自立指導は、どんな事をするのか少し述べてみましょう。
プログラムの最初は、挨拶訓練です。
挨拶は訓練する必要があります。
大切なスキルですが、日本のほとんどの学校が、カリキュラムの中に取り入れていません。
学校の多くが、知識中心主義だからだと思います。
義務教育や高校教育の現場では、挨拶指導が、きちんとできているのは体育系のサークルが中心です。しかしそれは課外授業です。
多くの教員が、挨拶は大切だと言いながら、指導する人はごくわずかです。
学習指導要領に具体的な方法を、うたっていないからかもしれませんが、残念なことです。
私は、知識と同じほどに、この挨拶スキルを身につけるべきであるという考えを持っています。
職種に関係ありません。福祉であろうと、事務であろうと、情報であろうと、ファッションであろうと、どんな世界でも、人間関係は必ずあります。
挨拶スキルは絶対欠かせない要素です。
具体的には次の要領です。
オアシスハをご存知でしょうか。有名な挨拶練習の手法です。
これを大声で練習するのです。
ですから放課後の空き教室が、好ましいのです。
まちがっても教員室ではできません。
さて指導実例を以下に示します。私のトーク例です。
「オアシスハのオはオネガイシマスです。
お願いするときは、こころを込めてへりくだって言いましょう。
表面上の格好だけでは、伝わりません。こころを込めて言うのです。
学生は指導していただく先生に、へりくだって、また私は指導に機会を与えていただいた学生にへりくだって、同じように『お願いします』と言います。」
「オアシスハのアは、アリガトウゴザイマスです。感謝のこころです。常に感謝のこころを持って、行動しましょう。」
「オアシスハのシは、シツレイシマスです。この挨拶は、相手に気づかうことばです。
また、へりくだりにもつながります。」
「オアシスハのスは、スミマセンです。どんな人も失敗や過ちはあります。正直に素直なこころで、お詫びしましょう。
謝るということは、負けではありません。むしろ自分の、かたくななプライドを壊さないと、謝れません。
これを壊すことができれば、自分に勝つということになります。また本当に強い人は正直に謝ります。」
「オアシスハのハは、ハイです。先生から名前呼ばれたら元気よくハイ。何か指示されたら、笑顔でハイです。
よく『どうして自分ばかりが用事いいつけられるのか』と不平不満を言う人がいますね。
その人は否定的マイナスです。
自分の名前呼ばれたら喜んでハイ、用事を指示されたら喜んでハイです。
このような人には、違うところで大きな素晴らしい報いがあるのです。」
そして20 分~30 分程メッセージを語ります。テーマはその日に思わされることです。
私自身肯定的に語らなければなりません。
おわりに参加学生の今日の決意を、1分スピーチで、ひとりずつ発表させます。
人前でスピーチは、効果的な訓練です。
最初は、しどろもどろでOK です。
しかし、しどろもどろでも、「よく発表したね」と褒めます。
またこの発表は、次への肯定的決意を述べさせます。
そして聞く人は発表者の話を真剣に聞き、肯定的な評価をするようにします。
「○○さんの今日のスピーチは、この点がよかったです。」などです。
否定的な評価はいっさい禁止です。良い点を見る訓練をします。
また発表者のマイナス点と思われるようなことでも、聞き手はプラスに解釈するという訓練にもなります。
これは人の欠点や失敗の批判をしがちになる、私たちのこころの訓練にもなるのです。
訓練中は常にプラスです。
そして最後に仕上げです。それは次の肯定的な4 つのフレーズを大声で言います。
1 私はできます
2 私はやれます
3 私はできると確信します
4 私はやれると確信します
本田は自分が負けそうな時や、臆してしまいそうになる時、このことばを繰り返し言って自分を勇気づけたといいます。
そうすると自分にはできない、不可能と思っていたことすべてがクリアできたというのです。
まさにことばの持つ力です。
■ 本田のその後
本田は3ヶ月この指導に通いました。
私が他の用事で指導の時間が取れないことがあると、文句を言ってくるほどでした。
うれしい悲鳴です。
あれほど反抗的で、遅刻欠席の多い本田が、3 ヶ月で見違えるほど変化したのです。
担当教科の先生方からの評判も良くなり、クラスを代表するほどの模範学生と成長していったのです。
私自身、人とはここまで変わるものかと驚かされた実例です。
さて、私は指導の中で就職指導も行っていました。
就職指導の具体的な方法は、後ほどお伝えしますが、本田も卒年次であったので、就職活動の重要な活動である自主実習を奨励していました。
いわゆるインターンシップです。これを学生自ら自主的に行うよう指導していたのです。
本田は加木指導に来てからは、何としてでも就職を決めたい、という意識が生まれていました。
というのも本田のこころは「自分はダメな学生なので、どこも採用してくれない。」
という否定的な思いから、「自分にも可能性がある、必ずチャンスはある。」
という肯定的な思いに変化していたからです。
これは加木指導のテーマです。
本田は、積極的にチャレンジしていきました。
くじけそうになれば加木指導にやってきては元気をつけます。
私の役目は、いつしか励ましのケアをすることになっていました。
「必ずできると確信しなさい」
加木指導のテーマで本田を勇気づけていきました。
するとどうでしょう。
福祉施設の中では歴史と実績のある、他校でも優秀な学生しか採用しないところから、おさそいがあったのです。
「是非、本田さんを採用したい」
と施設側から言ってきたのです。実習の様子を見て、本田を気に入ったというのです。
本田が変わったことを知らない人たちからは「えー?!あの本田が?!」という驚きでした。
また、これには教職スタッフ全員が、驚嘆させられたできごとでした。
1年生のときは反抗的で生活態度も最悪、成績も不可ばかり。
そんな学生が、たった3ヶ月の指導で、トップクラスに踊り出たのです。
まさに9 回裏の満塁逆転サヨナラホームランです。
本田の成功物語は、その後他の学生にも伝わっていき、後輩にも語り継がれるほどのものになりました。
たったひとりの学生がプラスになることで、全体に影響を与える波及効果です。
このときの成果が、後の学校の繁栄につながっていきます。
読者の方には「たったひとりの学生の成果が?」と、思われる方もいるかもしれません。
しかし私は「その通りです」と自信をもって申し上げます。
教員が、いくら無理やり押さえつけた学生指導をしても、何の効果もないどころか、かえってマイナスになってしまいます。
しかし教員が、学生のやる気を引き出し学生自ら本気で活動し始めると、とてつもない大きな渦になるのです。
歴史をみると、たったひとりの人物がその国を変え、その世界をつくっています。
たったひとりの学生が、その学校を変えることが起きても不思議ではないのです。
■ 学生、山本理恵(仮名)のケース
本田に続き、加木指導へやってきた山本理恵のケースです。
本田と同じクラスで、本田が連れてきた学生でした。
まずは、外面的なところから述べます。
この学生の体重は95kg、身長は160cmほどで、ほとんど肥満です。
介護福祉士を目指す学生ですが、この体重は大きなネックとなります。
動作は鈍く、介護の現場に必要な、てきぱきとした作業ができないからです。
身体介護にあるベッド移乗などは、下手すると自分の体重を支えるだけでも大変なため、転倒しかねません。
「加木先生、この子を指導してやってください。」そう言われて連れてこられましたが、
私も生身の人間です。正直「この学生は無理だ」と、思ってしまいました。
しかし、加木指導のテーマは「決して否定的にならない。」です。
指導する者が否定的なっては指導ができません。
思いを変えて、取り組むことになりました。
そして数ヶ月。
同級生の本田たちは次から次へと就職を決めて、加木指導を卒業して行きます。
いつのまにか山本ひとりに、なってしまいました。
いくつかの求人先にチャレンジするのですが、ことごとく不採用です。
7~8 施設を受験したでしょうか、不採用の理由は、すべてその体重でした。
一般に福祉系はビジネス系と違って、求人数が多いので就職は早く決まります。
どんなに決まりにくい学生でも4~5 回で決まります。
7~8 回も受験する学生は、それこそ稀でした。
とうとう山本のクラスで就職が決まらないのは、彼女ひとりになったのです。
減量のための指導を、あの手この手で行いますが、ほとんど効果ありません。
生活をともにして管理するわけにもいかず、時間ばかりが過ぎていきます。
私のこころには、あせりと否定的な思いが重圧のように、のしかかってきます。
「やめておけ、無駄だ、どうせ就職は決まりっこない。あの体重じゃ無理、加木指導は万能じゃない、正当な理由はあるじゃないか。」
今思えば自分の評価を気にしての、自己中心の考えです。
学生のことを思うと言いながら、自分のことばかり考える私がいました。
そして極めつけが上司からのひとこと。
「あの学生に、いつまでかかわるつもりなのか。やめておけ。もう指導するな。」
でした。
しかし、この言葉は逆奮起させます。
「教育機関は何するところぞ!!」私の教員魂は覚醒されます。
そして、「やるだけ、やって、後は天の神様にゆだねよう!!」
人知を尽くして天命を待つ、でした。
私は山本にたずねました。
「卒業まで、あと数週間しかないが、最後までチャレンジするか?」
彼女は、しぼりだすような声で「就職したい。」と訴えました。
山本は、すがる思いだったのでしょう。
加木指導しか頼れるところはなかったからです。
しかし、もはやなす術がありません。
このときほど、教員とは何と無力なのかを思い知らされたことはありませんでした。
ところが・・・・・つづく
この続きを読みたい方は、ここまでの感想をメールしてください。
折り返し、続きをお送りします。
■ おわりに
最後まで読んでくれてありがとう。
おわりに、あなたに大切なこと伝えよう。
それは、これからはマルチプレーヤーの時代になるということだ。
たとえばピアノの先生が水泳のコーチでもある、などだ。
「そんな器用なことは自分にはできない。」
と、あなたは思うかもしれない。
そう思ったらできないが
「いや、できる。」
と、思ったらできるのである。
物語に出てきた、いわゆる落ちこぼれの本田が、それを証明してくれた。
彼女ひとりだけではない。
この後、加木指導に来たほとんどの学生が証人である。
この証人がいなければ、ガドイン独立ビジネス専門塾は開講に至らなかった。
確信があり、証人がいるからこそ、この方法を提供するのである。
あなたも、自立できるようになりたいと思うなら、ぜひとも、ガドイン独立ビジネス専門塾の門をたたいてみてほしい。
他のスクールでは体験できない世界が、あなたを待っている。
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